Algorithmic Couture

Kotaro Sano
2 min readApr 23, 2019

筆者は、スペキュラティヴ・ファッションデザイナーとして、未来の身体や衣服、あるいはファッションデザイナーの可能態を思索するための、創作活動をしている。

筆者のこれまでの活動は、「Algorithmic Couture」という作品の制作を主としている。
「Algorithmic Couture」は、

(1)衣服の製作時に無駄な布の廃棄を出さないつくりかた

(2)S,M,Lなどの規格の大量生産に拠らず、個人個人にぴったりなサイズの衣服の効率的なつくりかた

の二点を、テジタルテクノロジーの応用によって実現することを目指して開発中のサービス。具体的には、機械学習のアルゴリズムを使って、衣服の設計図にあたる『型紙』を効率よく分割し、その人のサイズぴったりのカスタムメイドされた衣服を、織生地の無駄を出すことなく持続可能な形で提供することを目的としたサービスである。この作品はWIRED誌主催 Creative Hack Award 2018にて審査員特別賞、H&M Foundation主催 Global Change AwardにてEarly Bird Awardを受賞した。

筆者の活動分野は、「ファッションテック」と位置付けられる。近年、技術革新による衣服のつくりかたの変化は、「ファッションテック」という言葉で、社会的にも要請されつつある。例えば、『ゾゾスーツ』のような衣服のサイズを個人化し、デジタルテクノロジーを用いたツールの利活用を通して、その人だけの一点ものの衣服を提供できるサービスが現れ始めている。
もう一点重要なのは、「環境の持続可能性」の問題である。ファッションはあらゆる産業の中でももっとも自然に悪影響を与えている産業の一つである。近年、一部のデザイナーが新しい素材の開発などを通して、環境問題に対応し始めている。例えば、ファッションデザイナーのステラ・マッカートニーは、『クモの糸』を模倣したタンパク質を使って、完全にリサイクル可能なスニーカーを作るといったような活動を推進している。テクノロジーによる衣生活の変化の兆しはすぐそこまで来ていると言えるだろう。

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